オニオンスープをくれなくなった祖母を想う。

最近、東京にときどきいったりする。

移動時間があるから本を読む。
そりゃー、いろいろな本を読むさ。
小説や技術書、漫画、雑学。

最近、興味をもって読んだ本に『食品の裏側』
というものがある。

私たちが普段口に入れている、食品とそれに付随する
添加物の光と闇について書かれている書物で、
添加物の闇ばかりを目を凝らしてみようとするのではなく、
光の部分も説明してあって、

重要な問題は、
僕ら利用者が、添加物について意識せず、
気にせずに口に放り込んでいることだという。

そのとおりな気がする。
僕らは、ものをたべて動いていて、
いわば食品は燃料だ。

燃料になにが入っているかわからずに、動いてみるって、
変な気がする。

わかりやすい、よい書物だった。



祖母は、私が子供のころに、
よくオニオンスープを送ってくれた。
私はあのスープが大好き。

手軽で、お湯に溶かすだけで、子供の私にも簡単に作れた。
それにおいしかった。

自分で作れるようになったいま、
ときどきあの味を思い出して、たまねぎを一時間くらい炒める。

フライパンで炒める時間、
ぼーっと、
何かを考えているようで、何も考えていないような、
あの時間。

いまも多分自分ではあの味に似せたスープを作っていると思う。



突然、祖母がスープを送ってくれなくなった。

ほしいっていってもくれなかった。

理由、わからなかったけれど。

なんとなく、わかった気がする。

あれに何が入っているのか、知らないし、
悪いものとは限らないのだけれど、

当時の祖母は、
どういうわけか、私に飲ませたくなかったらしい。
そして、きっとそれは、
私を想ってなのだろうと思った。

いま、思った。