トリツカレ男/いしいしんじ

トリツカレ男 (新潮文庫)

トリツカレ男 (新潮文庫)

童話に近いものがあるようにおもいましたが、とても読後感のよいお話でした。

何かに夢中になると、そのことしか考えられなくなる男の子、トリツカレ男と呼ばれる男の子の、恋のお話です。いままでトリツカレたたくさんのしょーもない?(だけど役にたてちゃうのですけれど)技術を駆使して、彼女さんを喜ばせようとするのが、とても素敵でした。努力が報われる世界、とでもいいましょうか。

転ぶその瞬間には、自分にとって、いちばん大事なひとのことを思う。そのひとの名前を呼ぶ。そうすれば、転んでも大けがはしない。そうして転ぶことはけしてむだなことじゃない。(P100)