ほんのはなし:海辺のカフカ(村上春樹)No3-fin.
もし物語りの中に拳銃が出てきたら、
それは発射されなくてはならない。
(アントン・チェーホフの言葉)
物事の必然性と存在意義について、
よくあらわしていますよね。
でも、私としては意味のない存在があってもいい気がする。
僕がほしいのは外からやってくる力を受けて、
それに耐えるための強さです。
不公平さや不運や悲しみや誤解や無理解−
そういうものごとを静かに耐えていくための強さです。
(P155)
欲しいけれど。無理かも。
あなたが私の前にいるとき、
あなたは私の一部になる。(P374)
この本のテーマのひとつであるように思えました。
『世界の終わりとハードボイルド・・・』と同じような
構成になっていて、2つの視点としてとらえた物語が同時進行していきます。
全体として、感じること。
私たちの記憶というもの、それを保存しておく街と図書館があるのかもしれなくて、
それはきっと頭の中にあるのだろうと感じました。
だから、ある素敵な一瞬を思い出しているとき、
私はその図書館に行き、本を読んでいるのでしょう。
そのとき、その世界で、私の前にはあなたがいて、
そうすることで、あなたはきっと、私の一部になる。
そう考えると、
『パイトット・フィッシュ』にも同じ意味のことが書いてあったけれど、
出会った人とは、決して別れることがないのでしょうね。
たとえ、実際にもう二度とあえなくても。
なんてことを考えたり。