ぐるりのこと/梨木香歩


ぐるりのこと (新潮文庫)

ぐるりのこと (新潮文庫)

西の魔女が死んだ、や、からくりからくさ、あと裏庭などで有名な、作家さん。普通に小説も書いていますが。どちらかというと、10代後半に読んで欲しい作品が多いです。もっとも、大人向けもいっぱいあります。この作品はエッセイでして、こういうスタイルのものは初めて読んだのですが、とても勉強になりました。

ぐるりのこと、というのは身の回りのこと。わたしのぐるりは狭い狭い。

なんだか最近、欧米型の押しの強い生き方こそが生命力の証であるかのような、そして対人関係の場で隙あらば優位に立とうとする抜け目のなさが優秀な遺伝子のひとつででもあるかのような、錯覚を持つことがあるけれど。(P19)

あるけれど、そうじゃない、それだけじゃないとおもう、といいたいのでしょう。
上の発想でいくと、少なくとも、僕の遺伝子は不優秀です。

世界の豊かさとゆっくり歩きながら見える景色、それを味わいつつも、必要とあらば目的地までの最短距離を自分で浮かび上がらせることが出来る力が欲しいのだ。(P143)