いま、会いにゆきます/市川拓司

いま、会いにゆきます

いま、会いにゆきます

ぼくは空を飛ぶペンギンだった。望みようもない高みに彼女の導きでぼくは昇った。星が近かった。
そしてそこからは、地上にある汚れたものや醜いもの、心を悩ます全てのものが、まるで美しいタペストリーのように見えていた。
それが幸福だった。
そらから彼女はいなくなり、ぼくはただのペンギンになった。悲しみが訪れたが、ぼくには空の記憶と、風切り羽を持つ彼女によく似た男の子が残された。
つまり、ぼくはときおり悲しみにおそわれる、そこそこ幸福なペンギンになった。(P147)

空を飛んでいるときの気持ちことが、幸福のかたちなのだろうと、少しおもいました。わたし自身、あまり幸福を感じるタイプではないようですが、なんだかわかる気がします。

そうだね。あなたたちに会えて嬉しかったよ。また来てもらえるなら、明日が待ち遠しくなる。(P352)


とても綺麗な言葉だとおもいます。こういう思いで日々を生きたいですね。