いま、会いにゆきます/市川拓司
- 作者: 市川拓司
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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ぼくは空を飛ぶペンギンだった。望みようもない高みに彼女の導きでぼくは昇った。星が近かった。
そしてそこからは、地上にある汚れたものや醜いもの、心を悩ます全てのものが、まるで美しいタペストリーのように見えていた。
それが幸福だった。
そらから彼女はいなくなり、ぼくはただのペンギンになった。悲しみが訪れたが、ぼくには空の記憶と、風切り羽を持つ彼女によく似た男の子が残された。
つまり、ぼくはときおり悲しみにおそわれる、そこそこ幸福なペンギンになった。(P147)
空を飛んでいるときの気持ちことが、幸福のかたちなのだろうと、少しおもいました。わたし自身、あまり幸福を感じるタイプではないようですが、なんだかわかる気がします。
そうだね。あなたたちに会えて嬉しかったよ。また来てもらえるなら、明日が待ち遠しくなる。(P352)
とても綺麗な言葉だとおもいます。こういう思いで日々を生きたいですね。